美術と音楽をめぐる「主題と変奏・変容」~トーマス・ルフは何を変容させたのか?~「写真を西洋絵画の歴史に例えると、まだ“中世レベル”」と語る、写真家トーマス・ルフ。 現代美術の先駆者であるマルセル・デュシャンに大きな影響を受けながら、「写真」のさまざまな可能性を切り開きました。 レディメイドというコンセプトで、デュシャンが既成の工業製品を全く新たな作品として見立てた「泉Fountain」のように、ルフが撮影する対象そのものは目新しくなくとも、鑑賞者には新たな体験をもたらすのです。 このように既存の「主題」を新たな視点で描き直す「変容」は、美術の歴史上、何度となく繰り返し行われてきたものであると同時に、音楽の分野でも「主題と変奏」という形態で、西洋芸術のなかでジャンルを問わず、根幹に位置するものとして大きな役割を果たしてきました。 本コンサートでは、専門家のレクチャーと様々な楽曲の演奏を通じて、美術と音楽で共通する「変奏・変容」の魅力をひもとき、ルフが作品上で試みた革新的な「変容」とモーツァルトやブラームスなどによる変幻自在な「変奏」を楽しんでいただきます。 MusicDialogue@MOMAT「主題と変奏-トーマス・ルフ展によせて」日時:平成28年9月11日(日)13:00会場:東京国立近代美術館地下講堂出演者:永野光太郎(ピアノ)水谷晃(ヴァイオリン)、直江智沙子(ヴァイオリン)大山平一郎(ヴィオラ)、金子鈴太郎(チェロ)ゲストスピーカー:小川敦生(美術ジャーナリスト/多摩美術大学美術学部芸術学科教授)プログラム:モーツアルト:弦楽四重奏第15番二短調K.421から第4楽章ブラームス:弦楽四重奏第3番Op.67から第4楽章ウェーベルン:ピアノのための変奏曲Op.27チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」から第2楽章お客様とのダイアローグお申込み:https://goo.gl/RKjuFt【トーマス・ルフ展】http://thomasruff.jp〔開催期間〕2016年8月30日(火)~11月13日(日)〔会場〕東京国立近代美術館〔主催〕東京国立近代美術館、読売新聞社、ぴあ、WOWOWMusicDialogueについて:様々な「対話dialogue」を通じて、室内楽から得られる深い喜びをより広い方々に知っていただくことをミッションとする一般社団法人です。 世界的指揮者でありヴィオラ奏者である大山平一郎が芸術監督を務めています。 MusicDialogueは大山を中心にした質の高い室内楽のコンサートをお客様に提供するだけでなく、作曲家や奏者の意図・内面性を聴衆の皆さまにもより深く共有していただくために、作品を通じた作曲家と演奏家との「対話」、演奏家同士の「対話」に加えて、演奏を聞いていただく方々とも「対話」の機会を設けています。 また、様々な異分野で活躍する方々との対話(コラボレーション)を行うことで、新しい室内楽の楽しみ方を提供しています。 私たちはそうした室内楽の普及に加え、国内の若い音楽家を世界一流の音楽家へと育てる活動にも取り組んでいます。 若き才能を育てるためにも「対話」は必要不可欠です。 このような内・外を向いた「対話」をミッションに掲げる私たちの活動は多岐にわたり、演奏場所も音楽専用ホールにとどまらず、美術館や歴史的建造物、ホテルといった、より手軽に対話を楽しむことができる場所を選んで活動を行ってきました。 そうした活動は社団法人発足から二年半を経て、少しずつ広がっています。